【中小製造業向け】マーケティング機能の強化ステップ

デジタルマーケティング

「顧客との関係性強化」、「顧客の声を反映した製品企画」など、マーケティングに課題意識を持たれている製造業は多いと思います。

今回は、中小製造業の経営者向けに「マーケティング機能をどのようにして強化するか」についていくつかのヒントをご紹介いたします。

マーケターの必要性

中小の製造業におけるマーケティング機能強化の中心施策は「マーケターの採用・育成」です。

「マーケターの採用・育成」について考える前に、そもそも『マーケター』とはどのような人なのかを明確にしてみましょう。

唯一の定義はありませんが、私は『マーケター』を次のように考えています。

『マーケター』=顧客を一番理解している人

一言で申し上げると『マーケター』=顧客を一番理解している人です。

小さい会社では顧客を一番理解している社長が『マーケター』の役割を担われていることが多いです。

しかし、会社が成長するにつれ、社長に求められる役割も変わり、どこかのタイミングで社長が最前線に立ちつづける限界がやってきます。

この時どうするかは社長のお考えによりますが、もし「会社をより成長させたい」とお考えでしたら、ご自身の代わりとなる『マーケター』を確保する必要があります。

マーケティングの目指すことは「販売を不要にすること」

「マーケティング機能の強化」の究極のゴールは何でしょうか。

私が最もしっくりくるものはピーター.F.ドラッカーさんのお考えです。

マーケティングの理想は販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、顧客に製品とサービスを合わせ、自ら売れるようにすることである。

『マネジメント 課題、責任、実践 上』(ピーター・F・ドラッカー著)

「作ったものを頑張って売る」のではなく、「売れるものを作って、自然に売れる状態にする」ことがマーケティングの目指す姿です。

マーケティングが機能していれば、プッシュ型のテレアポや飛び込みのような、顧客に無理に売り込む営業機能は必要なくなります。

マーケティング強化が目指す組織は『CRO主導型組織』

マーケティング機能の強い組織を見ると、顧客を一番理解するマーケティング責任者が製品企画・開発、販売、アフタサポートを一気通貫でみる組織形態となっていることが多いです。

このマーケティング責任者の呼び名は会社によってまちまちですが、最近では『CRO(チーフ・レベニュー・オフィサー)』と呼ぶケースが増えています。

CRO主導型組織

CROは製品企画・開発、製造、販売、アフタサポートの分断をなくし、三枝匡さんの「創って、作って、売る」という商売の基本サイクルが円滑に回るように各部門を調整します。

どのようにして『CRO主導型組織』を作るか

それではどのように『CRO主導型組織』を作ればよいのでしょうか。

実は、いきなり『CRO主導型組織』を作って、外部から優秀なマーケターを採用してCROに任命しても上手くいきません。

優秀なマーケターが中小の製造業に来てくれることが難しいうえに、仮に優秀なマーケターを採用できたとしても、社内人脈がなく、自社の事業や製品に関する知見が少ないマーケターでは、組織を動かすことができず、まず機能しないでしょう。

私がおすすめするのは、社内から将来CROとなるべき候補者を選んで、少しずつマーケティング思考を組織に浸透させていく段階的なアプローチです。

1. マーケターを任命する

まずは、マーケターを任命します

候補となるのは将来、経営幹部として活躍することを社長が期待する若手エースです。

マーケティングの経験・知識は不問です。次の資質がある方を選びましょう。

  • MA、分析ツールなどの技術に対する興味よりも、ビジネスの成果志向が強い人
  • 上手くいかなくても別の施策を粘り強く考えて、PDCAを回し続けられる人
  • 社内の人間関係に精通しており、根回しが上手い人
マーケターに求められる3つの資質

2. マーケターの役割を「営業が成果を出すための支援」とする

マーケターの最終段階はCROですが、最初からその役割を担うのは難しいです。

マーケティング機能強化において特によく直面する問題が、既存の営業組織との軋轢です。

既存の営業組織から見ると、マーケティング部門は邪魔でしかない存在です。

自分たちが売上を稼いでいるという自負がありますので、そもそも「マーケティング」部門など自社には必要ないと思っている人も少なくありません。

そこでおすすめなのは、新設するマーケ組織の役割・位置づけを「営業が成果を出すための支援機能」とすることです。

営業組織がやりきれていない潜在顧客・見込み薄客への定期的なフォロー、メルマガ原稿作成、ウェブサイト更新、ウェビナーの企画・開催、手持ちチラシのブラッシュアップなど、営業担当が商談に集中できるように支援し、もし見込みの高い引き合いがあれば営業にプレゼントしてあげます。

まずは既存の営業組織から価値があると認めてもらうことが当面の目標です。

3. 早期に小さな成功をつくる

既存の営業組織からマーケターが価値があると認めてもらえたら、今度は小さな領域限定で、マーケターをCROに任命し、マーケティングだけでなく、商品企画・開発、営業も見てもらいます。

そして、社長はマーケターが早期に小さな成功をする支援をしましょう。

これまでマーケティングに取り組んでいないかった企業の場合、マーケターが「創って、(作って)、売る」という商売の基本サイクルを回すことで、

  • トップ営業のふるまいを普通の営業が再現できるようにマーケティングの仕組みを整えた
  • 顧客の声を聞いて新しい製品を企画・開発した
  • 企画・開発コンセプトをプロモーション活動で訴求して多くの引き合いを獲得した

など、小さな成果が得られるはずです。

その成果を社内発表・表彰し、マーケテングに対する理解者・支援者を少しずつ増やしていきます。

マーケターを支援する社長とは

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