経営コンサルタントなどの外部の専門家の支援を受ける場合に、専門家の力を最大限活用するにはどうしたらよいでしょうか。
これまで数多くの社長とお会いした中で、「この社長のお役に立ちたい」と本気で思えた社長を振り返ると、いくつかの共通点があることに気づきました。
専門家をやる気にさせる社長は、「ミッションとビジョンを語る」、「『イエス・アンド法』を意識する」、「良い提案は即実行する」を実践されているように思います。
ミッションとビジョンを語る
まずは、『ミッションとビジョンを語る』です。
経営コンサルタントが初めて経営者にお会いした際に必ず聞くこと、それはミッションとビジョンです。
「ミッション(会社は何のために存在しているのか)」、「ビジョン(どんな会社になりたいのか)」という経営者の思いが、経営活動の根幹だからです。
ミッションを実現するために各階層・機能軸の戦略があり、経営管理(PDCA)があります。(図1)

ミッションとビジョンをご自身の言葉でお話いただくと、経営コンサルタントしてもどのように話を進めたらよいか、選択肢がある場合はどちらを採用したらよいかなどが判断しやすく、後のフェーズがスムーズに進むことが多いです。
何よりモチベーションが全く違ってきます。目を輝かせながら夢を語る経営者、社会課題に対して何とかしたいと使命感にあふれる経営者に対しては、経営コンサルタントとしても何とか役に立ちたいと思うものです。
最初に経営コンサルタントをやる気にさせることはとても大事です。その後のアウトプットの量・質が全く変わってくること請け合いです。
ミッションやビジョンを整理する方法に内閣府が提供する『経営デザインシート』があります。
社長の思いや考えを「たった一枚のシート」に整理できるので、外部の専門家だけでなく、社員や金融機関、後継者、協力会社にも共有しやすいです。是非ご活用ください。
イエス・アンド法を意識する
つぎは、『イエス・アンド法を意識する』です。
専門家の提案が期待を越えなかった場合、どのような言葉をかけられていますか。
その専門家なりに色々と考えてこられたと思われる提案でしたら、『イエス・アンド法』を意識してお伝えいただくことをおすすめします。

『イエス・アンド法』を意識することで、相手を嫌な気持ちにさせずに、建設的な話し合いにつなげることができます。
例を挙げてみましょう。
専門家から聞いた話を既に知っていた場合、どのようにお話されるでしょうか。

メインターゲットの若い女性は商品パッケージで選ばれる方が多いです。そのため、顧客接点強化のツールとしてはインスタがベストと思います。
イエス・アンド社長であれば、こんな感じでお話されていると思います。

そうですよね!実は、インスタはやってはいるんですが、なかなかフォロワーが増えないんですよね…どうしたらよいですかね?
こういっていただけるとフォロワーをどう増やしていくかと建設的な会話を続けられます。
しかし、ごくまれにですが、こんな社長にお会いすることがあります。

そんなことは知ってますし、すでにやってますよ。どうフォロワーを増やしたらよいかを聞きたいんです。
頭ごなしにこう言わてしまうと、「イラっ」としますし、フォロワーを増やすためにどうすべきか提案する意欲が下がってしまいます。
感情に左右されずに常に一定のパフォーマンスを出すのがプロフェッショナルですが、専門家も人間です。
目の前の社長の役に立ちたいという専門家の思いの強さが提案の質を決めるのは間違いないです。
同じ事を伝えるにしても、伝え方一つで相手の受け止め方は大きく変わります。
せっかく同じことを伝えるのであれば、良い印象で伝わるように『イエス・アンド法』を意識されることをおすすめいたします。
良い提案は即実行する
そして、『良い提案は即実行する』です。
提案を喜んでいただいて、「早速、やってみます!」というお言葉もいただき打ち合わせは終了。
しかし、しばらく経って再訪すると何も変わっていないということがあります。
社員が動かないという社長の悩みはよく聞きますが、社長が動かないという専門家の悩みも良く聞きます。
そこまで大したことでなくても、ご紹介した便利ツールやWebサイト、書籍について
「使ってみたよ!」、「見たよ!」、「読んだよ!」、「買ったよ!」
と言ってくれる社長は天使のように映ります。
反応が良い社長には「また紹介したい」という気持ちが強まるためか、社長が望まれる情報に対するアンテナが立つことが多いように思います。
提案されたことを即実行する社長には専門家からの有益な情報がどんどん集まるはずです。
まとめ:経営者が知っておきたい『外部専門家をその気にさせる力』
経営者が知っておきたい『外部専門家をその気にさせる力』として、
- 存在意義とビジョンを語る
- イエス・アンド法を意識する
- 良い提案は即実行する
をご紹介しました。私自身、本業では外部の専門家の支援をいただく立場でもあり、自戒の意味で書いてみました。
ただ、上記の内容は経営者と外部専門家、発注者と受注者という取引関係に限らず、周囲の協力を得ながら何かを成し遂げようとする全てのリーダーにとって大切なことだと思います。ご参考になれば幸いです。
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