製品・サービスの改良・開発のヒントを得るためにお客様にインタビューする。
あるいは、部下のやる気を引き出し組織としての成果を出すために1on1ミーティングをする。
ビジネスの様々な場面で「対話」をされていると思います。
対話の成果を左右するのは「いかに相手から本音を引き出せるかどうか」です。
今回は本音を引き出すためヒントをいくつかご紹介します。
ちなみに、本記事の画像は、画像生成AIツール『DALL・E2』で「相談者の本音を引き出そうと一生懸命聞いている日本人のコーチ」というテーマで作った絵です。少し顔が歪んでしまっていますが中々の出来栄えです。
本音を引き出す① 相手の話に付箋を貼る
相手が話したことを要所要所で自分の言葉に置き換えて確認します。
- △△さんが仰っているのは、〇〇という意味で正しいですか。
- なるほど、〇〇というお考えなんですね。
- 例えるなら、〇〇という感じでしょうか。
- △△さんにとって大切なのは、〇〇ということでしょうか。
もし言い換えた内容が相手の言いたいことでなかったら、相手に修正してもらえると思います。
そのやり取りを通じて相手の主張をより理解することができます。
話し手にとっても、聞き手から要所要所で確認してもらうことで、「聞いてもらえている」安心感が生まれ、より本音を話しやすくなります。
これは相手の話の要点を付箋にさっと書いてホワイトボードに貼っていくイメージです。
本音を引き出す② 相手の人となりを感じ取る
対話の中では、その人自身に好奇心を持ち、「人となり」を拾い上げるようにします。
「人となり」というのは感情・考えやビジョン・価値観などです。
アンケート調査やウェブ解析ツールでは定量的なデータを得られやすい一方、その背景にある定性的な「人となり」を読み取るのが難しい特徴があります。
それを補うのがインタビューや1on1ミーティングなどの対話です。
相手の「人となり」を感じ取とろうと意識しながら対話を行い、感じたことを相手に返します。(図1)
無理に褒めようとする必要はなく、相手の真意を理解するための掘り下げの質問をしたり、「いいな」と感じたことがあれば肯定的な感想を返したりします。

本音を引き出す③ 言葉以外にアンテナを立て続ける
相手が話す内容だけでなく、言葉以外の微妙な変化に対してもアンテナを立てて、感じたことを返します。
- 何となく満足されていないような表情をされていますね。
- 今、〇〇さんの声に力強さ/迷いを感じました。
- 今、ハッと何か思い出されたように感じました。
表情、声のトーン、ジェスチャーなど非言語情報は自覚しにくいものです。
聞き手が感じたことを話し手に返すことにより、話し手は気づきを得ることができます。
この理論的な背景が『メラビアンの法則』です。『メラビアンの法則』によると、コミュニケーションにおいて、話した内容よりも、視覚・聴覚から得られる情報の影響が圧倒的に大きいそうです。(図2)

相手に本音を話してもらえていないと感じる場合、言語情報と聴覚・視覚情報との間に矛盾が生じているかもしれません。
竹中直人さんの代表芸に『笑いながら怒る人』があります。
目を閉じて聞いた時と動画を見た時とを比べると、視覚情報の影響の大きさを実感できます。
まとめ 話し手の鏡になる
本音を引き出すコーチング・コミュニケーション術として
- 相手の話に付箋を貼る
- 相手の人となりを感じ取る
- 言葉以外にアンテナを立て続ける
の3つをご紹介しました。
耳で聞いたこと、言葉以外の情報、人となりなど、話し手から得た情報を、鏡のように相手にそのまま返すことで相手をより理解することができます。ご参考になれば幸いです。

